スターリング エンジンとスチームエンジン


以下のエンジン模型は, 東京工業大学在職中の当時の白樫帯川研究室に配属された新人学生の工作実習の課題として作成されたものです. 学生は,自分たちでスペックを決め,実際に動作するかどうか検討したのち に,図面を書き,工作をいたしました.1996-1997.


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スターリングエンジン 1998


スターリングエンジン”は ロバート・スターリング ( Robert Stirling ) に よって発明された外焼機関エンジンです. スターリングエンジンは理論的にはカルノーサイクル ( Carnot's cycle ) と等しく動作します. スターリングエンジンは,非常に経済的であり地球環境にやさしいエンジンで あります. なぜなら,このエンジンの効率はおよそ40%に達し,ディーゼルエンジンに 匹敵するエネルギ効率があります. さらに,このエンジンは温度差のみで動作するので,特別な燃料は必要としません. 温度差があるような環境さえ作れば,動き出します. この温度差をどのように作り出すかが問題ですが,何かを燃焼させる必要は ありません.はじめから熱があるような場所,例えば工場プラントの煙突付近や, 太陽光線を集めて発熱させても構いません. このように,現在は捨ててしまっているエンジンを動作させるためのエネルギ源は, この世に無数とあるので,これらを有効に利用し,発電などに使用すれば, 地球環境はもっと良くなると思います.

動作原理は単純で,温度が高くなると,ボイルシャルルの法則に従って 作動流体(ここでは空気,これを空気以外のもっと効率のよい物質に変えれば, 効率やパワーはもっと向上させることができます)が膨張し, 内圧が上昇しパワーピストンに力を与え,逆に冷やされると,膨張した 作動流体が収縮するので,内圧がもとに戻りパワーピストンが戻される, といった仕組みです.通常のピストン運動のものは,膨張時にのみ パワーピストンに力を与え,あとはフライホイールの回転に依存させますが, スターリングエンジンは,膨張と収縮の2方向ともパワーピストンに力を 与えることができます.

構造は,暖かい部屋と,冷たい部屋があり,ディスプレーサによって作動流体 を各部屋に仕切っています.ディスプレーサはピストンとシリンダの関係になく, 部屋直径の98%の径にあり,隙間が部屋直径の2%あります.この割合が 一番効率がよいようです.

以下の図に各行程を示します.

Step-1 Step-2
Step-3 Step-4
Stirling engine part1 Stirling engine part2

これが東京工業大学在職時代,当時の白樫・帯川研究室で作成した,スターリングエンジンです. 本機は,熱源として小型電気炉(自作;カンタルA1線)を用いており, 炉の温度が450℃, 放熱器の温度がおよそ80℃で,なんとか動き出し, 炉の温度が600℃,放熱器の温度が100℃程度になると 非常に快調に動きます.

左の写真は,エンジンの全容で,右の写真は電気炉を含めた装置全容 です.右写真の白いブロック(断熱ブロック)で囲まれた部分に 電気炉が入っています.電源はスライダックを用いています. 電流はおよそ15Aまで流せます.


Stirling engine part3 Stirling engine part4

両写真を見れば分かるように, 非常に高速に回転していることが分かります. 回転数は測定した結果,電気炉の温度が650℃で1000rpm でました.

ここで不思議なことですが, こんなに早くピストンが往復運動するということは, 空気の熱伝導の速さは,そんなに早いのでしょうか? フライホイールは惰性で回ってはいませんので,現実に回っているので, そんなものかと思っておきましょう.

各ロットのクリアランス,ピストンとシリンダのクリアランスなど 本格的に設計すれば,さらに低温で高速に回るものと思われます. また,より温度差を付けるためにより高温にすれば,もっともっと 快速に回るものと期待できます. ところが残念なことに, 本機のディスプレーサはアルミニュウムでできているので, 650℃を超すと,だんだん融けてしまうので, ここまでの温度しか確かめていません.


gball スターリングエンジン the MOVIE 1996-1997 (動画)


スチームエンジン 1997


スチームエンジン”はあまりにも古典的かつ有名なので 動作原理などは特に説明しません. 要は,ピストンの左右に圧力差を生じせしめて,ピストンを左右に 動かす,ということです.圧力差を生じせしめるために,ピストン の移動に同期してバルブを開閉し,圧力を左右に振り分けるように しています.このバルブ開閉のタイミングをずらすことによって, 逆回転もできます.

Steam engine part1 Steam engine part2

これが作成したエンジンです. この特徴は,クランクシャフトを自作した点です. クランクシャフトを作成するのは結構大変でした. 通常は鍛造の1ピース品でありますが,鍛造加工で作成するのは 気軽にできないので,3ピース品にしました.

本機は,ボイラーによる水蒸気で動作するのではなく, コンプレッサーによる圧縮空気で動作します. さすが,高圧空気が定常的に入ってくるので,非常にパワフル に動いてくれます.圧力の上昇に伴いピストン移動速度が増加 するので,非常にトルクフルかつ高回転に回ってくれます.



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